「DXに取り組みたいけれど、何から手をつければいいか分からない」——そんなときは、先に道具を決めず、毎日の仕事で変えたいことを一つ探してみましょう。
DXは手作業を減らすことだけではありません。仕事の進め方や、お客さまに届ける価値を見直すことも含まれます。IPAの「DX推進指標」では、関係者で現状と目標を共有し、次の行動につなげる考え方が紹介されています。まず「どのツールを使うか」ではなく、「今どうなっていて、どうしたいか」を確かめます。
仕事・困りごと・確かめたいことを書き出す
次は、架空の焼き菓子店を例にした棚卸しです。実在するお店や導入実績の紹介ではありません。普段の仕事を思い出し、「何をしているか」「どこで困るか」「何を確かめたいか」を並べます。
- 予約をノートへ写す
- 困りごと:忙しい時間に転記を忘れそう。
- 確かめたいこと:訂正や確認にどれだけ手間がかかるか。
- 商品の残りを紙で共有する
- 困りごと:残数の確認で作業が止まる。
- 確かめたいこと:探す時間や確認の待ち時間。
- 領収書を月末にまとめる
- 困りごと:必要な紙を探すことがある。
- 確かめたいこと:探す時間や入力のやり直し。
一つだけ選び、小さく試す
この店なら、まず予約内容の転記を選びます。書き写す手間だけでなく、記入間違いによる確認や、お客さまへの返事にも関わるからです。これは例の中で対象を決める考え方で、改善結果を示すものではありません。
今のノートを残したまま、架空の予約内容で新しい記録方法を試します。書く場所や担当が分かりにくければ、すぐ元の方法に戻せます。手順が分かったら、対象を一つの受付方法や担当時間に絞って試し、期間も決めます。既存の記録や受付を一度に切り替えず、元の方法を戻せる状態にしておきます。
前後を同じ項目で比べる
始める前と試した後で、同じ期間・同じ仕事について記録します。受付件数や忙しさの違いも控えておくと、条件の差を踏まえて比べられます。以下は架空の検証方法で、測定結果や実績ではありません。
- 手間: 転記や内容確認にかかった時間。
- ミス: 記入の訂正や確認し直した回数。
- お客さまへの影響: 返事を待ってもらったり、内容を聞き直したりした場面。
手間や訂正が減り、お客さまへの案内も分かりやすいなら、続けるか次の仕事にも広げるかを検討します。作業は短くなっても案内が分かりにくくなった場合は、記録方法や説明を見直します。変化がない、または確認が増えた場合は、試す範囲を戻して別の方法を考えます。ツールを使い続けること自体を目標にしません。
DXは、変えたい仕事を確かめるところから
一つの仕事について、困りごとと確かめたいことを書き出します。小さく試して、手間・ミス・お客さまへの影響を比べると、続けるか、方法を変えるかを判断しやすくなります。
「自社ではどの仕事から見ればよいか」と迷ったら、お問い合わせからご相談ください。現状を伺い、取り組む前に整理したいことから一緒に考えます。
参考:IPA「DX推進指標」(2026年9月29日公開、2026年10月20日確認)



